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​つはる自主制作音源「母殺し」

邪悪の森で迷子になってしまった「わたし」を迎えに行く、もうひとりの「わたし」。

​ふたりの「わたし」が織り成す、52分の物語。

ライブ会場・通販にて販売中​

価格 1,500円

通販:つはる商店 - BOOTH

「母殺し」について

 

前回の音源(配信限定音源「のぞきこんだその奥に〜」)を完成させてから、つぎに作る音源は、1つのアルバムで1つの物語」を表現したいなぁとざっくりと考えていた。

けっこう前に作った音源「君とかくれんぼ」も、若干、そういうコンセプトに沿って、全体を通して聴いたときの流れを意識して、作ったつもりだけれど、「もっと、老若男女、誰がきいても、ストーリーを感じられる流れを作りたい。」と考えるようになった。

持ち時間30分のライブを実験場にして、自分の頭の中の物語のイメージを俯瞰する作業を、一年半ほど続けて、それぞれの曲をすこしずつ、形にしていった。

録音に取り掛かり始めたのは、昨年10月ごろから。

録音はかなり難航した。今まで作ってきた音源と比べて、使ってる音の数や、種類が格段と増えたため。

以前の音源と比べると、より作りこまれたものに、自然とそうなっていった。

「なんか、私、世界でいちばん美味しいカレーを、こだわって作ってる料理人みたいだなぁ」と思いながら、録音とミックスをした。

 

 

1.Requiem:August

この曲はもともとは「葉月の詩」という曲名の、ウクレレ弾き語りの歌が基になっている。

「葉月の詩」の原型はほぼないので、自分の中では、別の曲として、扱っている。

「これからどんな音楽がはじまるんだろう?」と思ってもらえるような、曲を1曲目にしたかったので、断片的な言葉しか入れていない、この曲にした。

1曲目をきいて、それぞれ、イメージを膨らませて、ワクワクしたり、期待を裏切られたりしながら、2曲目以降を聞いてもらえたらすごく嬉しい。

 

2.邪悪の森から

この曲はアルバム収録曲の中で一番さいごに作った新曲。

この曲ができる前は、2曲目は別の曲を入れていたけれど、この曲に変更した。

おかげで、アルバム全体が、おみそ汁に昆布からとったダシを入れた時のように、ピシッと引き締まったと思っている。

 

3.なんで生きてるの?

この曲は昨年10月に作った。

歌のメロディーが、ちょっと自分には難しくて、歌の録音がいちばん苦労した。今まであまりやっていなかったけれど、歌のメロディーを予めシンセで録音して、それに合わせて、何度も何度も練習をした。

でも何度も練習して録音しても、サウンドクラウドに載せたバージョンの方がいいので、悩んでしまって大変だった。(サウンドクラウドに載せたバージョンは、試作品として作ったけれど、その時の感情がきちんと歌に出ていると思う。しかしiPhoneが壊れて本体取り替えになった際に、消えてしまった。)

 

 

4.午前零時の刻が鳴る

漫画家のムクロジさんの同名のマンガを読んで、そのマンガの世界を表現しようと思い、作った曲。

そういうアプローチで曲を作ったのは、初めてだったけれど、あまり悩まず、楽しく作ることができた。

間奏の時計の秒針の音は、昔買ったけれど使ってない目覚まし時計の音を録音して使った。

かわいい目覚まし時計なんだけど、秒針の音がけっこうデカいので、電池を入れないで放置されている。

今回はじめて役にたって、目覚まし時計も喜んでるのではと思う。

 

5.I am a broken toy

この曲も、1曲目と同じで、元々はぜんぜん違う打ち込みアレンジの、歌ものの曲だった。

気分転換に、歌ものの曲をピアノでインストにしてみる遊びをしてみた時に、「この曲は、歌詞を省いて、ピアノのインストにしても、充分つたわるな」と思い、インスト曲にした。

呼吸音を入れたのは、ライブでやる時に、いつもありえないくらい、ピアノの演奏のテンポが走ってしまうので、その防止のために入れたけれど、いつのまにかそれが定着している。

録音はスタジオのピアノを使って、その際は部屋の照明を暗くして、演奏した。

 

6.hanarebanare

この曲も同様で、もともとは、もう少し短い曲で、ふつうの歌ものの曲だった。

インスト作りに凝っていたころに、

「10分くらいある、カッコいい、芸術品みたいな、インスト曲をつくりたい」と思って、作り始めた。

今まで作った曲の中で、完成させるのに、いちばん時間がかかっていると思う。

(2年くらいかかっていると思う)

「母殺し」から1曲だけ選んで聞くとしたら、間違いなく、この曲だと思っている。

 

7.imagination

この曲も同様で、元々は歌もののアレンジだった。

歌もののアレンジも気に入ってるけど、歌詞がふつうの恋愛の歌詞だったので、それをやめてインストにして、アルバムのコンセプトに合わせた新しい詩を付け加えた。

10曲目「最終電車」に向かうための、中継地点の曲だと思っている。

 

8.Cinnabar

一年くらい前に、「鉱物図鑑」の本を、たまたま見つけて読んでみた。

私は、その鉱物図鑑に、生き方や、思想的に、たくさん影響を受けた。

鉱物図鑑は、色んな種類の石の写真と、その石の説明が、淡々と載っているだけの、シンプルな本だけれど、「人間も同じだな」ってすごく思った。

私は、その辺に転がってる石ころで、宝石にはなれないかもしれないけれど、光を放つ存在になるために、自分を磨きたいなと思っている。

「cinnabar」というのは、中国の鉱山て採れる、赤い石。「辰砂(しんしゃ)」と呼ばれ日本では「丹(に、たん)」と呼ばれている。

昔の中国では、不老不死の薬と信じられていた神秘的な石で、この石を原料にした薬を調合する「錬丹術」が行われていたそうだ(つはるの持っている鉱物図鑑より、引用)

 

9.今すぐ行くわ

この曲を作ったのは、ちょうど一年くらい前、1回目の緊急事態宣言が出ていた頃。

あの頃、どこへ出かけても、誰もいなくて、店はしまっていて、この歌詞のような気持ちをずっと思っていた。

最初は、歌をライブでうたっている時のように、元気よく歌ってみたけれど、録音して聴くと、なんか違うなと思い、そっと優しく、けれど情熱と意思が感じ取れるように、歌った。

打ち込みは、ドラムの音をいちばんこだわって、ドラマーになったつもりで、作った。(ほかの曲は、わりと、ドラマー目線から聞いたら、ちょっとツッコミ入れたい、変なリズムになってるところがあるかもしれない。)

シンセの音色の名前が「dirty」(汚い)という音を使っている。

私は、この音は、すごく美しいと思うのだけど、汚い音は美しくもなるし、逆に、美しい音も聞くに耐えないグロテスクな音になる場合もあるのではと思う。

 

10.最終電車 feat.omochi

アルバム最後の曲。

紆余曲折あって、回り道もしたけれど、たどり着いたような、そんな感じ。

間奏に、おもちちゃんの鳴き声を入れているけれど、おもちちゃんが半分ノラ猫だった頃、庭で録音した。

おもちちゃんが、マイクに鼻を近づけて、ふんふんと匂いを嗅いでる音とか、個人的にたまらなく好き。

私は、おもちちゃんと一緒に、ホットカーペットの上で寝っ転がってると、本当に心が安らぐし、リラックスができるので、この曲も、その時の気持ちを表現したいと思って、音を選んでいった。

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​録音が佳境に入っていたころの音源ノート。当初は、最後の曲は「今すぐいくわ」だった。

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​「午前零時~」の録音につかった、使っていない目覚まし時計。

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​「hanarebanare」の録音につかった、トイピアノ。マイクの位置をどこに置くか悩んで大変だった。

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​「最終電車」の録音に協力してくれた、おもちちゃん。毎日、ひなたぼっこと昼寝をして元気。

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作業が難航して頭の中が煮詰まったときによく遊んでいた「毛糸のカービィ」。

​1時間ほど遊ぶと、頭の中が無になってすっきりできた。

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​つはるの生き方と思想に影響を与えてくれた、鉱物図鑑。

さいごに:今回「母殺し」を作る製作費を用意するために、通販でイラストを販売させていただきました。通販を買ってくださった方にお礼を言いたいです。ほんとうにありがとうございます。

今後もすてきな音楽をつくっていけるように、がんばりますので、あたたかく見守っていただけるとうれしいです。

ありがとうございます。

​つはる

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